『平成版聖なる結婚』原田ひ香

たんなる見開き2ページのエッセイだが、これは看過できなかった。原田ひ香って何様?
「最近、生きにくいことを声高に主張する、被害者面した加害者が増えている・・・」
いやいや、「新潮」を「週刊新潮」や「新潮45」だと勘違いしてない?
最初、例の「加藤容疑者」の事だけを書いてるのかもしれないと思ったが、なら「増えている」はないよな。だったらそこは百歩譲っても、「ときに被害者面をしているように見えてしまう『加害者』が増えている・・・」と書くべきだろう。
それに原田が称揚する"平凡がいちばん幸せ"みたいにヌカす物言わない人たちもまた、目立ってしまうことを厭わず、勇気をもって声高に声を上げる人たちのせいでなされる数々の社会的施策の恩恵をちゃーんと受けているんだぜ。そのくらい想像して欲しい。
というより原田が称揚するような「平凡な」人たちがサービス残業だのリストラだのに、自ら進んでじっと耐えてくれるお陰で、それに耐えられない人が異常視され、そのうちの何人かが声を上げざるを得ないんじゃないか。
まったくもう。小説家が世の中の仕組みも想像力も無くしてどうするのよ。社会学者なんてけっきょく全体を優先するんだぜ。99匹ではなく最後の一匹の面倒みるのは文学じゃなかったのかなあ。佐川光晴吉田修一読んでるのかなあ。
まあ吉本隆明みたく文壇しか目がむいてないと最後の一匹=平凡な普通のひとみたいに転倒した光景がみえちゃうのかもしれないけどね。