『無頭鰯』横田創

岡崎氏に続いて掲載されていたというそれだけの理由で読み始めたのだが、内容は、以前すばるでかなり退屈な思いをさせていただいた横田氏の作品と記憶の上ではほとんど変わらない女子高生の自分語り。
この辺でもう読むの止めようかと思ったくらいのところで、生徒の裸を撮ったのが担任教師であるというような話がでてきて、ここから何か面白い展開でもあるかと思ったのだが何もなし。失敗だった。これほど短くなければ、またちょっとした怒りすら覚えたかもしれない。
おそらくこの小説の一番の重きは、女子高生ふたりの特別に親密な関係と、その親密さゆえの離反にあると思うのだが、それならそれでなぜこの教師の一人称が出てくるのか理解できない。しかも犯罪描写としてあまりに表面的で、どういう意味があるのやら。
そしてこれだけの犯罪行為・事件なのだから、「外部」=報道メディアや警察、親、地域社会との関わりが相当でてくるはずであり、しかもこの教師の行為が暴かれる(逮捕)ことまで描いておきながら、当該女子高生における主たる変化といえば、いや主たるというより描かれる変化は親友との間の変化だけ。テーマに沿って徹底しているといえば徹底しているのだが、そんな事は、群像の次号のこの作品への酷評に見られるがごとくあまりにも無さそうだ。