『言い間違い』寺村朋輝

懐かしい名前、と注目作だったのだが。相変わらず、ちょっとおかしな人(作家)である。感覚でちょっと分からない所がある。自分の中に混じってきた不純な言語を、そう簡単に頭の中から除外して自分だけの確固とした世界に戻れるものなのか?この、一番のクライマックスの部分の心情がよく分からない。
結婚式の式場の外での幼児との距離の置きかたとか、中高年オヤジとの言い合いには相変わらず面白い感覚があるのだが、今作はちょっとまとめ過ぎという感じがした。『言い間違い』という題名もなんか中心からはずれている感じがするし、この作家の本当の評価はこれからといった所になってしまった。