『太陽を曳く馬』高村 薫

マンネリのごとく平野作品をまずトップで賞賛しまくりでしたが、今号に関しては、この作品をまず挙げてみた。
だって面白いんだもん。
平野作品もそりゃ面白いし、今回だってまず最初に読んだのは平野作品だけど、ここ2ヶ月の高村薫のこの作品の面白さは何?!って感じ。坊さん連中や、その坊さんを傍観している事務局長の得体の知れなさが、ビシビシと伝わってくるのね。
高村の、しつこくて、一見不器用なふうでもある、器用さや流麗さを排除した文体がジャストに合っているのだろうか。
たかが一人の持病もちの坊さんが事故に遭って死んだだけの事件(そうじゃないの?)を、これほどまでにミステリアスで何か奥底に訳のわからないものがあるようなものに感じさせてしまう、まったく大した手腕というか、語り部というか。