『神器―浪漫的な航海の記録』奥泉光

がぜん、佳境に入ってきた感じがします。面白くなってきました。
どんな突拍子も無い作戦が発表されるのかと思いきや、アメリカ軍の支配地域の友軍の生き残りを救出するのだという。
そこへ行くまでが大変で、普通に考えれば救出どころか辿り着くのも難しいだろうと言う事で、突拍子はないのだが、自分の予想としてはこの段階でひょっとしたら、原子力関係の話か天皇をめぐる話か、ちょっとオカルトめいたものが出てくることも考えていたので、あ普通だな、という感じもあった。
それでもこれでまた新たなステージという感じもあって、今までちょっと沈滞ムードもあったぶん、期待は膨らまざるをえない。
その道中がいったいどこまでどういう風に描かれるかというのは、全く想像もつかないけれども、とにかく長く連載はして欲しいもの。
これで作戦決行してどこかで悲惨に死ぬのであれば、普通の文学というか、文学にすらならないところなのだが、奥泉氏の場合はそんな心配はまず無いと断言していい。さてさて。