創作合評

今回は木村紅美氏と円城塔氏、他１名の作品が対象。
たまたまこの２氏の作品を読んで間もないこともあって、興味深く読んでみたのだが、以前の田中弥生がやってたときと比べてこういう見方もあったのか、という鋭さが余り見られない。
そのなかで（たしか）沼野氏が、円城作品をこれじゃあまりにも訳分からなさ過ぎだろ、みたいに否定していたのが好感もてた。誰も彼もが、こけおどしに負けるかのように、なんか頭良さそうと理系コンプレックスがあるのか知らないが円城をなんとなく誉める空気にあって、なかなか勇気のある行為である。平田俊子なんかはろくに理解していないのは沼野氏と同じなのに、文章の感じがなどと印象批評でもって肯定する始末。いや周りの空気とは関係なく、なにか感じるものがほんとにあったのかもしれないけど、こういう姿を無防備に晒してしまうのが、作家の評論家とはちがう所だよなあ、と思う。
木村紅美氏の作品は、予想以上に否定的な意見が多かった。ここまで詳しくていいのかとか言われたりなんだが、中心的には人間の中身に対するつっこみが足りないという如何にもありがちなもの。これじゃ私とたいして変わらないだろう。木村氏の作品は、おそらくそういう所を楽しむ作品じゃないんだよ、きっと。