『湖水地方』寺坂小迪

これは少女漫画だな。出てくる男性がみな格好いい。
会話もなんか地の文章のようで、不自然だし。今日はじめて会ったひとにそんな言い方するか、と。
書こうとするテーマにかかわりのある部分ではないが、これらの欠点は、あまりにも重大。すくなくとも私にとってはそう。
肝心の姉妹の葛藤というか、姉としての葛藤も、何か伝えようとする意欲はよく分かるのだけども、いまいち響いてこない。それほど酷い描写というわけではないんだけれど、やはりキャラ立てが弱いせいなのか、それともその葛藤を説明する言葉を発見できていないのか。
残酷な言い方かもしれないが、同じ姉としての葛藤をみた場合、6月号の新人賞受賞作である先に言及した『舞い落ちる村谷崎由依の水準には、かなり届いていない。あの作品は、先に子供を産んだ妹の方が年齢を実際にも重ねてしまう、という虚構を用いてはいるので、比べるのものではないかもしれないが。